9/9 (金) 〜 9/10 (土)  晴れ       東京 → 徳島 → 7番 十楽寺

昼間 出発当日になってから、 銀マット・マメ用消毒薬・メガネふき・・とかとかの小物の買い出し&荷造りをはじめました。

お遍路にあたり、そんなに持ってく物がなかったので荷造りをナメてたのですが、当日にやるもんじゃないです。


ちなみにメインの、リュック・テント・寝袋・雨具は全て借り物。

インドアな人間にも、一人くらいはアウトドアな友達がいるものです。


ただ、その人が 「元・無人島同好会」の人だったため、

「携帯トイレを持ってけ。」 「水のいらないシャンプーは?」 「この洗剤は地球に優しいよ。」と、

こっちは極力荷物を減らしたいと言ってるのに、明らかな不要品を持ってかそうとするのを断るのに大変でした。 



いろいろと詰め込み、荷物が完成したのが出発1時間前くらいでしょうか。

出来上がったリュックをしょってみてびっくり。 激重。




激重といっても9キロ位だったと思いますが、あまりに重かったので、せっかく借りた寝袋を持ってかない事にして、

かわりに軽いひざかけ(ダンボの毛布)を投入。 



しかし、この軽すぎる決断が数日後に凍死をしかける原因になってしまいました。

20:30 JR夜行バスの出発5分前に到着。 電車を1本乗り過ごしてたらいきなりアウトでした。

あぶねぇなぁ。


かなりガラガラな状態でバスは新宿駅を出発。 

乗務員さんがお茶やおしぼりを持ってきてくれたのでかなり好感触なJR。

早朝 どこを走っているかは全くわからないが、もう帰りたくなってくる。

となりの男子のイビキがうるさくて腹立たしくなる。
6:40 徳島駅に到着。

正直、 「ここでバスから降ろされても。。」と思いました。 

もっとバスに乗ってたかった。 バスで延々と走っていたかった。 あんまりやりたくねぇなぁ。。というのが素直な気持です。



で、降りたところは徳島駅のバス亭なハズなんですが、どこが徳島駅かがわからなくて困りました。


見回すと、周りはデパートやら駅ビルっぽいのやら、建物が立ち並んでいるのですが、いっこうにどれが徳島駅なのかが分かりません。

しかも、もっとリュックを持った若者達がたくさんいると思ったら全然いないんですもの。 朝の町に浮いてる旅人。


しばらくウロウロすると、ビルにでっかく書かれた「徳島駅」の文字を発見。

なんで最初に気が付かなかったのかが疑問でした。


中に入り、「徳島駅ってぐらいだから、東京駅みたいに○○線、○○線、、って電車がいっぱいあるんだろうなぁ。 

       俺の乗る線はちゃんと見つかるかなぁ。。」


と不安をいだいてましたが、その電車しか通ってませんでした。 なんだよ徳島駅。



さっそく駅員さんに、「坂東駅に行きたいんですけど。。」と尋ねると、

「え〜と、坂東、、坂東、、、」 と、路線図を調べ始めてくれたのですが、1〜2分しても、「坂東、、、、、、、坂東、、、、、、、、、」

えー?? 駅員さんなのに見つけられてないんですけど。。  しかも徳島駅から4駅くらいしか離れてないのに。。


60歳を過ぎた新人さんだったのか、一日駅員だったのかは分かりませんが、かなり不安なスタートです。


ただ、他のお遍路さんの日記などを読むと、ここで電車がなかなか来ず、1時間待ちをする人がけっこういたので、

オイラもかなり待つことを覚悟してたのに25分後の出発予定。

登校時刻のため、ジャージ姿の女学生がワラワラと降りてきます。


「あぁ。 まだ四国に全然馴染めてないなぁ。」 と、しみじみ思いました。

7:09 電車出発。 車内には僕一人です。


ここで、やっとお遍路地図を開きます。 全然これからの予定をたててないのです。 今日のも。

地図を見た感じ、今日中に1番〜8番までは行けそうだと思いました。 総距離20キロくらいでしょうか。


「よし!今日からがんばって歩くぞ!!」と、すがすがしい気持でスタートしたかったのに、

いかんせんバスの中であんまり寝れなかったので気分が悪くてしょうがありません。 すげぇ寝不足です。


以前にお遍路に行った人に、「一日目は四国の空気に馴染むためにも、観光でもしてゆったり過ごしなさい。」

と助言されてましたが、観光しようなんて体調じゃありませんし、3番くらいのお寺あたりでやめて風呂入って寝たい感じです。

そしてなにより、車内に路線図がないので、本当にこの電車が目的地方面に進んでるのかが心配でなりません。
  板東駅に到着。

今まで運転手さんだった人が電車から降りてきて、切符を回収するというスタイルにカルチャーショックを受けつつ出札。

がんばれワンマン電車。


住宅街の中を、地図を見い見ぃ1〜2キロ歩きます。

するとどうでしょう。 まっすぐな道路の先に、1番霊山寺が見えてきました。

「おおおーー!!! お遍路さんがいっぱいいる!!!」

ってなりたかったのに全然いねぇ。 かなりガッカリ。

たま〜にお遍路さんがお寺から出てきても、そのまま駐車場に行く人多数。 車で廻る人たちばっかりのようです。


頑張ってお寺の門の前まで行くと、お寺の隣に「お遍路グッズショップ」が。


「白装束やら杖やらは1番で買えばいいって聞いてたけど、このショップのことかしら。。?」

と悩んでいると、おばあちゃんと若い娘さんの2人組がお寺から出てきました。

「すみません。 お寺の中でもこういうの売ってますか?」

と尋ねると、売ってるとの事です。

ドキドキしながらお寺の中へ。


でもってここのお寺、いろんなグッズを売りつけることで有名なお寺なんです。


そりゃあ皆さん1番のお寺から始めるからここで買い物するでしょうし、なにも知らない素人がたくさん来るでしょうから

おいしい商売なわけでしょうよ。

だもんで、出発前から買うものは、「頭にかぶる菅笠・杖・白装束・納経帳か掛け軸」と決めてました。

他にも、お経を唱える際に使うローソクやらお線香やら数珠やら正装のためのアクセサリーやらいろいろとあるのですが、全部カット。


「さぁ。ガンガン売りつけて来いコノヤロウ! 俺様はNOと言える日本人だぜ!」と、意気込んで店内に入って行くも、全然ほったらかし。

多少は声かけてくれないと不安になってしまうのに、全然無視。

むしろどうやって買えばいいのかが分からないくらい無視。

やっぱりイジメはシカトがいちばん効くね。と思いました。


結局こっちから声かけて、杖1500円、白衣3000円、納め札200枚で200円を購入。

ちなみに納め札とは、キョンシーのおでこにはるお札くらいの大きさで、各お寺に「納め札入れ」という箱があって、

そこに、このお札に願い事を書いて入れるのです。


続いて頭にかぶる傘ですが、おっきいのとちいさいのとがありまして、せっかくなのでおっきいのにしときました。

日焼けも防いでくれるでしょうし。 2000円。


そしてもうひとつ、納経帳か掛け軸を買わねばなりません。

こいつは分かりやすく言うと、各お寺にてもらえる手書きのスタンプのようなものを、

納経帳というノートに書いてもらうか、掛け軸に書いてもらうかの違いです。


ただ、このスタンプラリーの存在自体、「お寺の金儲けにすぎん!!と言ってやらない方も多いそうですが、

せっかくなのでやっておこうと思いまして、納経帳だと3000円くらいかしら。 で、掛け軸が1万5000円。


どっちがいいかをお店の人に聞いてみると、

「納経帳は自分のために。 掛け軸は家族代代のためになります。」とのこと。

せっかくだので、代代のためにしようとすると、「お宅の宗派はなんですか??」と聞かれ、「浄土真宗です。」と答えると、

「じゃあこの掛け軸になります。」と、2万5000円になってしまいました。  ふぬぅ。


ちなみに88ヶ所をめぐる際、そのスタンプをもらうのにお金がいりまして、納経帳だと1寺300円×88。 掛け軸だと500円×88になります。

これが出費の大半になりますなぁ。



と、いざ揃えたところで、まだ顔を洗ってなかったので洗面所を借りて洗顔。 ふぅ。

そして「出発ノート」みたいのがあってそこに住所と名前を書きます。

すると、オイラのひとつまえに北海道の19歳の女の子が出発してました。

「お。 さっきのお寺の前であったおばあちゃんといた女の子だな。」

そう考えつつ、お寺のおばちゃんにお寺でのお参りの作法を教えてもらい、予備の白装束をプレゼントしてもらい店を出ました。


さっそく、もらった「お遍路説明書」みたいなのを見ながら、般若心経(お経)を読み、霊山寺をあとにしました。 
8:50 霊山寺出発

次の2番までは1.4キロ。 国道沿いを歩くだけです。 

白装束着て、杖もって、てこてこ歩いていきますが、もっとワラワラいると思ったお遍路さんが全然いません。

これはかなりさみしい旅になりそうだなぁ。。と思いました。


そしてここらへんで、手に持って歩いてた、さっき買った傘をかぶろうと、頭にセッティングしてみたところ、

背中のリュックがでかすぎて、傘のうしろが当たってしまうのです。 うまくかぶれないのです。

これにはかなりのショックでした。


あの時ちいさい方を買っておけばフィットしてたのに。。 

背筋をのばすと傘が当たってひっかかるため、猫背のまま歩かねばなりません。 せつない。
  2番極楽寺に到着。 お経読んで出発。
10:30 3番金泉寺着。 お経読んで出発。
  ここら辺から道がたまにあやしくなってきた気がしました。

お墓のワキを通ったり、クモの巣アリアリの山道を通らさせられたり、初心者には不安になる道が多いのです。


路地裏なんぞは当たり前で、下手すると、砂浜を歩かさせられたり、田んぼの間を歩いたり。


それになによりこっちのクモがでかいのなんの。 全然かわいくないサイズなんですよ。

配色もカラフルだし、巣の強度も抜群だし、ちょうど顔の位置に作るのね。 巣を。

だからうっかりしてるとそのままバボーンって顔にストライクするんですよ。 巣が。

そしてなによりお墓の多さ。

いたるところにお墓があるんです。 四国。

国道沿いにでもどこでもあるんです。10〜20個くらいのお墓のかたまりが。



そんな遍路道をさみしく歩いていると、後から歩き遍路さんがやってきました。 初めての遭遇です。

さすがに無視するわけにもいかんので、頑張って声をかけましたところ、岡山からきた大学3年くらいの男の子です。


いろいろ話していると、


「東京って秋葉原あるんですよね?? 行ってみたいなぁ〜。」

「なんで? パソコンとか好きなの??」

「いや、メイド喫茶がたくさんあるじゃないですか!」


しばらく彼と歩くことになります。 しかも、メイド喫茶よりメイドキャバクラに行きたいそうです。

12:15



12:45
4番大日寺に到着。

ここで、1番のお寺で会った女の子とおばあちゃんに追いつきました。

「あの女の子19歳だよ。」

そう大学生に教えてあげると喜んでましたが、数日後にこの人は29歳だったことが判明します。

13:15



13:45
5番地蔵寺到着。

さすがにそろそろ疲れてきてウダウダしてると、バスツアーの団体がやってきました。

お〜。 いっぱい来たなぁ。 と思っていると、ひとりのおばちゃんが話し掛けてきました。


「あなたたち歩いてるの?? えらいわねぇ〜。 ウチの息子もどうのこうので〜〜〜〜〜〜〜〜〜」


と、始まったのですが、この息子さんがどエライ息子さんでした。。

どうやら、シベリアを1年半くらいかけて自転車で横断したとかしないとか。 いや、したんですけど、

しかもそれで植村直己賞をもらったというのです。


今、グーグルで 「植村直己賞 シベリア 自転車」で検索したらモロに出てまいりました。

安東さんという方でした。


そしてその時そのお母さんにもらった納め札がこちら。



藤沢市 安東浩正。 スゲーヨー!

安東さんのお母さん、ありがとうございました。
  で、出発したのですが、次のお寺まで5.6キロ。 さすがにへばってまいりまして、食堂に入ることにしました。

名前が「ハッピー食堂」なもので、いかんせん味が不安だったのですが、大変おいしゅうございました。 徳島ラーメン。
15:30〜
15:45
6番安楽寺

16:15〜
16:45
7番十楽寺

ここらで、そろそろ今日の寝場所を決めねばなりません。

僕からしたら人生初の野宿。 ですけど、意外となんとかなるんじゃないか?と思えて、意外と冷静でした。

テントあるし。 2人いるし。


お寺の境内で二人で考えていると、学生君の持ってるガイドブックによると、7番と8番の間に温泉マークが見つかりました。

温泉ではなく健康ランドのようですが、とりあえずそこに入ってから考えよう。 となりましたが、

なにぶん疲れてて「もう歩くのやだなぁ〜。」とウダっていると、お寺に大きなリュックを背負った若者が入ってきました。

どう見ても野宿をする荷物な若者。

パッと見は、野宿慣れしてそうな18歳くらいの青年です。


「今日はどこに泊まるんですか?」

そう聞きたいけど聞けないのが人見知り。

結局聞けずにむこうは去ってしまいました。


しかし、ウチらがお寺を出ると、彼がまだ可視範囲内を歩いておりましたので、頑張って声をかけると、

どうやらウチらの健康ランドのちょい先にある、おおきな公園にテントをはるとの事です。

さすがアウトドアラーは違うなぁ。と思いつつ、健康ランドへ向かいました。

17:30 「御所の郷」という健康ランドに到着いたしました。

とりあえずお風呂に入ろうと、荷物の整理をロビーでしていると、50代くらいの一人のおじさんが声をかけてきました。


同じく歩いてお遍路をしている方なのですが、車をベースに歩いているそうで、

歩く → 夕方になる → タクシーで車の場所に戻る → 車で寝る → 昨日歩いたとこまで車で移動 → 歩く・・・

と、非常にリッチなんだかリッチじゃないんだかな旅をなされてるそうです。


ただ、糖尿病のため、あんまり無理はできないとのお話でしたが、

出会ったこの時は、これからの旅の中でこのおじさんがキーマンになってくるとは思ってもいませんでした。


しばらく糖尿病のおじさんと話した後、お風呂に入って、洗面所で無理やり洗濯し、休憩ルームで携帯の充電などをしていると、

今度は70くらいのおじいちゃんが話し掛けてきました。

70過ぎてるのに、愛車のジープで四万十川をどんどんさかのぼって、四万十川の源泉が湧いてる所を見に行ってみたりと、

とにかく好奇心旺盛なおじいちゃん。 いろんな武勇伝を聞きました。


1日目から、こんなにいろんな知らない人としゃべっていいんだろうか??と思うほど、いろんな人としゃべった日でした。


で、駐車場でテント張っていいですよーと許可をもらって、いざテント張り。

雨が降りそうだったので、建物の軒下を選んで張ったのですが、学生くんは外。

「適当に寝ますんで大丈夫ですよ〜。」といってましたが、こっちからしたら自分だけテントで悪いなぁ。。と思いつつ、

テントの中で寝ようとすると、とにかく暑いのです。 中。

これは寝れん!と思い、結局外で毛布で寝ることにしました。  それでちょうどいい位の気候なんですけど。


学生君といろんな話をし、さてそろそろ寝るか。 と思うと雨。

完全に雨をしのげる場所に移動して就寝。 長い一日でした。


約20キロ


杖とか傘とか掛け軸とか 33985円
昼:ラーメン 500円
温泉 600円
ジュース3本 390円


2日目へ。

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